【Netflix配信中】映画「空白」レビュー|古田新太と松坂桃李が描く“喪失と再生”の物語
はじめに
Netflixで映画『空白』(2021年公開)を観ました。
心に深く残る作品だったので、あらすじと感想をまとめます。
タイトルの「空白」が意味するものを、観終わったあと静かに考えさせられる映画でした。
映画「空白」のあらすじ
目立たない女子中学生。
一生懸命に生きているけれど、動作が鈍くて言いたいことをうまく伝えられない。
父親は漁師。
口が悪く、頑固一徹の職人気質。
母親は離婚後、新しい家庭を築き、お腹の大きい再婚相手。
少女が母親からもらった携帯を父親に壊される場面は、家庭の断絶を象徴している。
やがて少女はスーパーで万引きをし、店長に追いかけられる。
そして――逃げる途中で車にはねられて命を落とす。
物語はそこから始まる。
残された父親と、追いかけた店長。
そして二人の周囲にいる人々――母親、報道陣、スーパーのパート主婦、父親の弟子、車の運転手、担任教師。
それぞれの「空白」を、どう埋めていくのか。
映画「空白」の感想|“空白”は埋めるものではなく、受け入れるもの
「空白」と聞くと、「埋めなければいけない」と思ってしまう。
でも、映画を見終わって感じたのは――空白は空白のままでいい、ということ。
大切な人を失ったとき、心にぽっかり穴が開く。
その痛みを他人に向ける人もいれば、自分に向ける人もいる。
この映画では、亡くなった娘に初めて向き合う父親の姿が描かれている。
娘の死後、必死に思い出をたどる父親の姿は切なく、
生前には埋められなかった“親子の空白”を、死を通してようやく埋めようとしているように見えた。
一方、スーパーの店長もまた苦しんでいる。
正しいことをしただけなのに、誹謗中傷を受け、父親から執拗に追われ、ついには店を閉じる。
彼もまた、亡き父との確執という空白を抱え、それを埋めるように働いていたのかもしれない。
この作品の登場人物は、皆それぞれに「空白」を抱えながら生きている。
そしてその空白は、誰かに理解されなくても、消えなくてもいい。
大切なのは“向き合うこと”なのだと、この映画は静かに語りかけてくる。
映画「空白」の作品情報
静かな映画だけれど、心に深く響く。
“空白を埋める”のではなく、“空白を受け入れる”。
そのメッセージが、観る人それぞれの人生に重なる作品です。
