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店舗を閉めると決めた理由|小さなお店を「続けきった」から見えた現実

宝積寺駅東口にあるクリエイターズデパートメント5号棟の外観。ログハウス風の小さなお店が青空の下に建っている

はじめに|閉店ではなく「満期卒業」です

このお店は、経営不振による閉店ではありません。
高根沢町の創業支援施設として、最初から最長2年間と決められていた期間を満了しての卒業です。

2024年2月にオープンし、2026年1月で満期。
すでに次の入居者選考は行われています。

退去時には、
壁をペンキで塗り直し、床にニスを塗って原状回復を行い、施設を町にお返しします。

この創業支援事業は、2025年12月時点で8年目を迎える町の取り組みです。
私はその制度のなかで、与えられた時間を使いきった一人です。

この記事を書こうと思ったのは、
小さなお店を続けてみて初めて見えた現実を記録として残し、
この制度を利用したい方や、これから創業を考えている方の参考になればと思ったからです。


「店舗経営は向いていないかもしれない」と思った日もあった

正直に言うと、
途中で「店舗経営は自分には無理かもしれない」と思ったことは何度もありました。

行きたくない気持ちが浮かぶ日もありました。
それでも通い続けたのは、
期限が決まっていたからこそ、途中で投げ出したくなかったからです。

結果として、満期まで続けることができました。
この事実自体は、まず自分で評価したいと思っています。


続けたからこそ生まれた「常連さん」という存在

お店を続けるなかで、少しずつ常連さんが増えていきました。

「次はこんな作品が見てみたい」
「前に買ったあれ、すごく気に入っていて」

そんな会話を重ねるうちに、
誰の顔を思い浮かべながら作品を作っているのかがはっきりしてきました。

これは、イベント出店だけでは得られなかった経験です。
同じ場所で続けることの、大きな利点だと感じています。


同じ場所で続けるということの難しさ

一方で、同じ場所でお店を続けるということは、
「二度目、三度目と足を運んでもらう理由を作り続けること」でもあります。

季節ものを考えたり、
イベントを企画したり、
いつ行っても何か新しいものがある状態を保つ。

いわゆる「目を離せない、愛されるお店」を目指すことは、
想像以上にエネルギーのいる作業でした。


「人を待つ商い」が自分には合わなかった理由

――そして、外に向かって扉を開いた話

私はこれまで、営業職として
自分からお客様を探しに行く仕事をしてきました。

そのため、お店という
「お客様に扉を開けてもらわなければ始まらない形態」は、
自分の性格には合わないと感じることも多かったです。

ただ、そこで「向いていない」と諦めるのではなく、
店にいながら、自分から外へ手を伸ばす方法を探しました。

ひとつは、「じゃらん」の活用です。
関東各地から栃木県を訪れる旅行者に向けて、
ガラス体験のワークショップを掲載しました。

「日光」や「那須」を目的地にした旅の
行き帰りの“寄り道体験”として利用していただくことが多く、
結果的に、県外から足を運んでくださる方が増えました。

もうひとつは、このホームページです。
ワークショップや資格取得講座に興味を持った方から、
事前に内容を理解したうえでのお問い合わせが増えていきました。

これらは、
店で「人を待つ」のではなく、
外に向けて扉を開きに行く感覚に近いものでした。

店舗経営が向いていない、というよりも、
商いの構造と自分の特性が噛み合わなかった。
けれど、やり方を変えれば、活路は確かにあった。

いまは、そう整理しています。


立地とイベントがもたらしたリアルな集客

駅前とはいえ、車での送迎が主な地域で、
日常的な人通りはほとんどありません。

そのなかで、年に5〜6回行われる
各棟主催のイベントは、非常に貴重な機会でした。

この2年間で、私自身も2回イベント主催に携わりました。

  • どんな趣旨で行うか
  • 販促物はどうするか
  • 駐車場の確保
  • 出店者さんをどう集めるか

天気のことを考えると胃が痛くなることもありましたが、
主催側に立った経験は、大きな学びになりました。

多くの来場者が訪れる日は、
お店の存在を知ってもらう最大のチャンスでもありました。


外に出ることで、店に戻ってくる人がいた

出張してマルシェに参加し、
実店舗の存在を伝えたことで、
後日お店まで足を運んでくださったお客様もいます。

会話やショップカードを通して、
出会いをどう繋げていくか。

小さな積み重ねですが、
人との縁を「点」で終わらせない意識は、
とても大切だったと感じています。


お金をかけられない開業者こそ、無料の力を使う

販促費に多くの資金をかけられない新規開業者にとって、
無料で使えるサービスは大きな味方です。

私自身、

  • 栃ナビ
  • 商工会
  • 町役場
  • よつ葉生協(イベントチラシを組合員さんに配布ご協力いただく)
  • テレビ取材・ラジオ出演

などに助けられてきました。

使えるものは、遠慮せず使う。
これは、小さな商いを続けるうえでの現実的な知恵だと思います。


おわりに|「閉める」ではなく、次へ進むための区切り

小さなお店を続けることは、
夢や憧れだけでは成り立ちません。

けれど、続けたからこそ得られた経験や出会いが、
確かにありました。

私は、この場所での役割を終え、
原状回復をして、次の人に場を渡します。

閉めるのではなく、卒業する。
そして、ここで得たものを持って、次の形へ進みます。

宝積寺駅東口にあるクリエイターズデパートメント5号棟の外観。ログハウス風の小さなお店が青空の下に建っている

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