ナイルパーチの女子会

出演
水川あさみ 山田真歩 淵上泰史 小池里奈 篠原敦 田村信 森谷カンナ

原作
「ナイルパーチの女子会」柚木麻子

NETFLIXで視聴。全8エピソード。

リアルでだったり、ネットであったり「女子会」という響きは妙にある種の違和感のようなものを感じる。
それは自分も、女子との関わりについては、「うまく出来ない」主人公側の人間だからなのか。
まぁ、私の場合は性別に関係なく、友達関係が良好とはいえない。
一番思い当たる原因は相談しないから、だと思う。
全てを曝けだし、「ねぇ、聞いて。ねぇ、助けて。」とは言わない。
逆にそれをされないように気を使ってきた。
自分の領域を守るために、人の領域に入らない。
本音を話せる他人というのが親友なんだとしたら、今までいた試しがない。
なぜ話せないんだろう。吹けば飛ぶような小さなプライドが邪魔をするんだろうか?

でも、主人公のように友達が出来たらこんなことをしたい、とかこんな風に付き合いたいって思う気持ちは何となくわかる。
実際、短大の時に、グループで式根島に旅行に行った友達の土産話を羨ましい気持ちで聞いた、気がする。
だから楽しそうとは思っても、それは想像でしかない。

ナイルパーチというのは魚の名前で、おっとりしている見た目なのに生態系を壊してしまうほど凶暴な肉食魚。
この作品の出演者も皆、外見はおっとりしているけれども、それぞれに牙を隠し持っている。
視聴者はいずれかの出演者に自分を投影させることだろう。
面白かったのは水川あさみ扮する志村栄利子のストーカー的なつきまといに辟易していた丸尾翔子が気が付いたら自分も同じように他の女性にしつこくメールをしていて実は嫌がられていたというくだり。
人のことは見えるけれど、自分のことってなかなか見えない。
自らの牙で生態系を壊した後に、ひとりぼっちの世界でどう生きていこう。
水槽越しに、あっちの水槽は楽しそうでいいなってちらっと見て見ぬふりしながら生きるのかもしれない。
そんな風に思っているとはつゆ知らず、ゆうゆうと泳いでいて素敵だなって思われていたりして。
人の評価で生きるってなかなか切り離せない難問だなぁ。
こんなにSNSが発達していると、見たくなかったことや聞きたくなかったことまで見えて、聞こえて。
それを完全に無視できればしんどくないのに、やっぱり自分と比べてしまって。
ひいては妄想まで膨らんで、それに押しつぶされそうになっている人って少なくないんじゃないかな。

自分のことに置き換えると、相手に自分を委ねないようにしているのは自己防衛にすぎない。
人を信用しきれていないのだ。
信用して裏切られたり、騙されたり、そういうことが怖い。
その時のダメージが怖い。
だからそうならないように、あらかじめ距離をとって静かな水槽のなかでぷかぷか浮かんでいるんだ。
臆病そのもの。

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