NETFREIXで映画「空白」を見ました。
レビューします。
映画「空白」のあらすじ
目立たない女子中学生。
一生懸命やっているけれど、動作が鈍くて、言いたいことも言えないタイプ。
少女の父親は漁師。
口が悪くて、人使いも荒い、頑固一徹な職人気質。
母親はすでに離婚後、新しい家庭を作っていて、お腹が大きい。
母親が買ってくれた携帯電話は父親に見つかって、取り上げられ壊される。
ある日、少女はスーパーで万引きをし、そこの店長に見つかり、追いかけられる。
そして事件は起こる。
逃げる少女は車にはねられて死亡。
物語はそこから始まる。
残された父親、追いかけたスーパーの店長。
二人の周りに取り巻く、さまざまな立場の人たち。
母親、ニュースを伝える報道陣、スーパーで働くパート主婦、父親のもとで働く青年、ひいた車の運転手、少女の担任…。
それぞれの「空白」を埋めていくものは何か。
映画「空白」の感想
「空白」と聞くとどうしても、「埋めなくてはいけない」。
そう感じてしまうのは性分なのだろうか?
映画を見終わって、空白は空白のままでもいいんだ。
ぼんやりとそんなことを感じた。
これが私の感想。
大切な人が亡くなると、心にぽっかりと穴が開く。
そして、そのやりきれない気持ちを、ある人は他人に向け、ある人は自分に向ける。
この映画では、父親がそれまで向き合うことのなかった少女に対峙していく様子を描いているところが特に良かった。
娘が亡くなってから、わかろうとして必死に思い出をかき集める父親の姿は切ない。
ある意味、父親と娘の間にあった空白を埋める作業。
それは本来、娘が生きている間に費やすべきだった。
でもきっと生きているうちに、少女の言葉が届く相手ではなかっただろう。
少女は父親の横暴のもと粛々と時を重ねていたに違いない。
残念ながら、父親自身の空白は、娘の死によって埋められる。
スーパーの店長は誹謗中傷を受け、父親には執拗につきまとわれ、ついには閉店にまで追い込まれる。
正しいことをしただけなのに。
世の中には理不尽なことがあふれている。
気弱で思っていることをストレートに言えない店長のストレスたるや相当だったろう。
かつて店長だった亡き父親の最期の電話に出なかったという後悔が、店長の空白なのか。
それを埋めるためだけにやっていた仕事なんだろうか。
自分を納得させるために無理やりねじ込んだ空白に埋めた部分を取っ払う作業にも見えた。
そう考えていくと、登場人物にはそれぞれ空白があり、それぞれの向き合い方が見えてくる。
自分の身の周りに起こりそうな事件なので、感情移入しやすく、いろいろ考えさせられる映画だった。
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